ゴルフクラブにはウッドやアイアンなど色々なものがありますが、その中でも他のクラブと異なり特殊な形状をしているのがパターです。そしてパッティングはゴルフスコアの約4割を占めると言われています。
今回はスコアアップを狙うなら外せない、パターの種類と選び方についてまとめました。
ヘッドの形状によるパターの種類
パターはゴルフクラブのなかで唯一、グリーン上でしか使わないゴルフクラブです。そのため他のゴルフクラブの様に球を上げる機能はなく、狙った方向にボールを転がすために設計されています。
グリーン上で正確にボールを転がせるかどうかでスコアが大きく変わってしまうため、パター選びには重点を置きたいもの。
全ストロークの半分から3分の1で使用するパターには、主にで4タイプのヘッド形状があります。
ピンタイプ
昔からなじみの深いパターがこのピンタイプです。「PING」が初めて作り出したことから、それ以降に販売されている同じ形状のものをピンタイプと呼んでいます。代表的な特徴は構えやすく、操作性が良い所。
頻繁にゴルフを楽しむ方でも、プロの様にいつでも同じパッティングをするのは難しいもの。しかしこのピンタイプは、フェース面がスクエア型でターゲットに合わせやすく安定感があるため、パッティングの再現性が高くなります。
また、フェースの両側に(トゥとヒール部分)重心を置いているため、スイートスポットが広くなる設計をしています。比較的上手く転がりやすいので、ロングパットなどの難しいパッティング場面でも、気持ちよくボールを沈めることができます。例え芯を外れてもヘッドがぶれにくいためミスもあまり目立たないのも嬉しいところ。
初心者や中級者などはフィーリングでパッティングをする方も多いと思いますが、そうした方に向いています。もちろんプロにも愛用者がたくさんいるパターです。
マレットタイプ
マレットタイプは重心が後方にあり、かまぼこ型とも呼ばれています。重心が深く作られているためヘッドが左右にぶれにくく、直線的なイメージでパッティングできます。
またヘッドが大きく作られていることもあり、目標に合わせやすくシャフトの軸線が芯と重なっているモデルが多いため、扱いがそれほど難しくありません。
芯を外れたパッティングでも距離が落ちにくいのがメリットですが、距離感がつかみにくいう意味ではデメリットとも言えます。ヘッドの重みがあだとなり、距離に合った力の調節が分かりにくいのが難点です。
ネオマレットタイプ
前述したマレット型よりも面白い、少し特徴的な形状をしているのがネオマレットタイプです。
マレットタイプと比べてヘッドがより大きく作られており、重心もより深く設計されています。パターの中でも直線的なパッティングが繰り出しやすい種類と言えます。
色々な形状のネオマレットタイプが売られており、2ボールタイプになっていたり、角が生えた形状をしている物などがあります。いずれのタイプもマレットタイプに“プラスアルファの工夫”がなされており、「芯を広く設ける」「パットラインが分かりやすい」など、ミスを軽減するアイディアが盛り込まれています。
デメリットは、ヘッドがマレットタイプ以上に重い点。マレットタイプもヘッドの重さからロングパットが難しいですが、ネオマレットタイプも同様の難点があります。
L字タイプ
シャフトとヘッドが垂直に交わっている、つまりL字に近い形状をしているパターです。
パターにはまっすぐ引いて、まっすぐ打つタイプが多くありますが、このL字タイプは地面と平行に弧を描くように打たなくてはならないため、初心者向きとは言い難いタイプです。
操作性は良く、まるでアイアンの様にパッティングができるため、正確な距離感が出やすいと言うメリットがあります。その一方でスイートスポットが他のパットと比べ狭く設計されており、思い通りにボールを転がすことは難しくなっています。どちらかと言えば上級者向きのパターと言えるでしょう。
パターの選び方の基準とポイント
自分が欲しいと思えるパターの種類が大まかに決まったら、次は自分にマッチしたパターを選ぶ作業が必要となります。デザインなお気に入りのメーカなど好みで選んでいくことも大切ですが、どうせならより良いパッティングができるパターを選びたいものですよね。ここからはパターの選び方について考えていくことにしましょう。
試し打ちは必ずしよう
どんなパターを選ぶにしても、試し打ちは必須です。ゴルフショップでは、試打室が設けられている所も多いため、実際に打ってタッチの合うパターを選ぶと良いでしょう。
自分の力と距離感が上手く伝わるパターであるか、まずはその辺から感覚的に選んでみることが大切です。
パッティングレベルに合った大きさを選ぶ
パターには種類ごとに様々な大きさが用意されています。かなり大きめのものから小さくスタイリッシュなものまであり、どれを選んでいいのもか迷ってしまいますよね。
パターの大きさ選びで覚えていて欲しいのが、大きいものほどスイートスポットが広く、ストロークの余計なブレを制御してくれる働きがあること。パターが得意ではない場合、比較的大き目のものを選ぶようにするとスコア上昇につながります。
ただし大きいパターの欠点は、操作性の悪さと繊細な感覚の伝わりにくさです。イメージ通りのパッティングができないと思うのであれば、程よい大きさに抑えると操作性が上がります。
パターの重さを吟味しよう
パターの大きさと比例するのがパターの重さです。大きいものほど重く、小さいものほど軽くなりますが、ピンタイプのパターとマレットタイプのパターでは重量もかなり違ってきます。
パター選びで重さを見ることはかなり重要です。軽いパターと重いパターを比べながら、自分がどちらの方が打ちやすいのか、スムーズにボールを打てるのか、好みを基準に選んでみると良いでしょう。
ただし、ゴルフ場のグリーンの質でもパッティングの感覚は変化することがあります。
高麗芝を用いている場合、芝目の影響が強いため、勢いよく当てることのできるタイプの軽いパットの方が距離感も合わせやすいです。対してペント芝の場合は重めのパターを選んだ方がストロークしやすく、ボールが思ったように転がります。
普段から利用しているゴルフ場のグリーンの芝の特徴を考慮して、パターを選んでみるのも良いでしょう。
グリップの太さ
細目か太目か、パターグリップの太さでパッティングは意外なほど変わります。
細目や一般的な太さのグリップは自分の思い描いたフィーリングが伝わりやすいため、感覚的なパッティングがしやすいグリップと言えます。
反対に太目のグリップは、手首や指先の余計な動きが伝わりにくく、安定したパッティングが実現しやすくなっています。手だけでパッティングしてしまうミスを制御してくれるため、よりパットが決まりやすいパターと言えます。
フェースの硬さとフェースインサート
パター選びではフェースの硬さとフェースインサートも重要です。フェースインサートとはパターのフェース面に埋めこまれたファイバーやプラスチックのこと。これでフェースの硬さが変わってきます。
パターは繊細に扱うものですので、フェース部分の硬さもしっかりチェックしていきましょう。
硬いフェースのパターはフィーリングが伝わりにくいですが、球が転がりやすく距離に物足りなさを感じる方には向いています。柔らかいフェースはストロークがスムーズに出せますので、距離感が伝わりやすいですが、パッティングがショートになってしまうことも。自分のパッティング傾向と照らし合わせて選びましょう。
また、普段使用しているボールの硬さにも着目してみましょう。柔らかいボールを使用している場合には、さほど差はありませんが、硬めのボールを使っている場合には、柔らかいフェースを選んだ方がマッチ度が上がると言われています。
硬めのボールは転がりやすいため、そこでさらに硬いフェースのパターを選んでしまうとパッティングがオーバー傾向になってしまうためです。ボールの硬さにも着目してパターを選んでみてください。
フェースバランスにも注目
フェースバランスとは、パターの中央付近に指を置いたり、パターを机に置いてフェースだけを外側に出したりした時に見られるフェース傾きの角度のことです。
この時フェースが真上を向くものをフェースバランスタイプ、フェースが傾いてしまうものをノンフェースバランスタイプと呼んでいます。
フェースバランスタイプはまっすぐ引いてまっすぐ打つタイプのパターとなるため、初心者にも扱いやすいですが、ノンフェースバランスタイプは弧を描くようなパッティングが必要となってくるため、繊細な感覚は伝わりやすい反面、高度なパッティング技術が必要となります。
パッティングにイマイチ自信が持てないのであれば、パッティングが比較的優しいフェースバランスタイプを選んでみると良いでしょう。
ネックの形状
パターにはヘッド同様、様々なネックの形状がありますが、自然なストロークを実現させるためにもネックの形状選びはキーポイントになってきます。アドレスに入った時違和感がないかなど、フィーリングで選ぶと間違いありませんが、その形状と特徴についても少しだけ触れておきましょう。
◆クランクネック
カギ型などとも呼ばれていますが、シャフトよりフェース部分が前に張り出す形となっているため、よりボールを捉えやすくなります。
◆スラントネック
スタイルはカギ型と変わりませんが、よりすっきりしている形状をしているため、アドレス時にカギ型と比べ構えやすくなります。ロング、ミドル、ショートなど長さが色々あり、最近ではショートスラントネックが人気です。カギ型と比べ引っかけにくいと言う特徴があります。
◆ペントネック
オフセットシャフトとも呼ばれています。よくマレットタイプのヘッドに装着されているタイプのネック形状です。パターを構えた時右足側に向かってシャフト1本分から半分程度曲がっており、2段階で曲がっているものもありますが、ボールをまっすぐ引いてまっすぐ出すことが容易になります。
◆ロングネック
カギ型のネック部分が長く作られたものです。ネックが長い分重心距離が短くなるため、ストレートなラインを描きやすくなると言う特徴があります。
◆初心者に人気のセンターシャフト
ゴルフクラブはヘッドの重心位置にシャフトの延長戦が重なることを禁止していますが、パターに限ってはこのルールが除外されています。そのため、パターではセンターシャフトと呼ばれる重心とシャフトの位置が重なるタイプのものが多く販売されています。
ボールをシャフトの延長線上でヒットさせられるため、パッティングのイメージが伝わりやすいパターとなっており、初心者にありがちなミスが軽減できます。
ただしセンターシャフトなどは、ロングパットの距離感がつかみにくいと言う欠点もありますし、プッシュアウトを頻発してしまう方には向いていない場合も。他のゴルフクラブと振りの感覚が異なるため、逆に難しいと感じてしまう方もいます。そのような場合、シャフトがフェース面の前方にあるネックモデルの方が良いパッティングへとつながります。
ネックの形状は打ちやすさに直結することもありますので、実際にパッティングを試しながらお気に入りを見つけてみましょう。
シャフトの長さ
シャフトの長さもしっかりチェックしておきましょう。身長やパッティングの構え方によっても丁度良い長さは変わってきますが、一般的に短めなシャフトの方がショートパットも繰り出しやすく、長いシャフトの方がロングパットも容易になると言われています。
実際に同じパターでシャフトの長さの違うものを持ち比べてみるなどして、自分にマッチするシャフトの長さを見つけてみましょう。中尺、長尺パターなど色々ありますが、一般的に男性なら34インチ前後、女性なら33インチ前後が妥当と言われています。
価格
パター選びで最後のネックとなるのが、そのお値段ですよね。どんなにお気に入りのパターが見つかったとしても、価格があまりにも高くては手が出せませんよね。
ただしゴルフにおいて、ショットとパッティングの比率はそれぞれ6割、4割と言われています。パターの1本の占める割合が全体の40%と言うのですから、それなりにこだわりを持って選びたいもの。
パッティングスコアが伸びれば、全体スコアも上がることになりますので、値段だけで選ぶのではなく、やはり自分に合ったものを購入するのがベストです。値段の重圧に負けて妥協してしまうのではなく、握ったり振ったりしたときのフィット感も加味して一番しっくりくるパターを選ぶと良いでしょう。
まとめ
パターを選ぶ際、「実際にどれを選べばいいのか分からない」「本当に自分にとって一番のパターか不安だ」と思うことは少なくありません。
パターを選ぶポイントについて色々見てきましたが、やはり自分の成長度合いやコンディションによってもパターの良し悪しの感じ方は異なりますので、これが完璧と言えるものを常に選べると言う保証はありません。
そんな時には、カスタムできるパターを選んでみるのもアイディアです。長く使いたいという方にもカスタムできるパターはぴったりと言えます。
カスタムできるパターはプレイ中や自宅で、付属のキッドなどを使用し、シャフトの長さ(レングス)やライ角の角度、重さ、グリップなどを調節できます。値段は少々高めになりますが、初心者のパター選びの手助けになってくれるパターと言えますので、購入を検討してみるのもおすすめです。
この記事を書いた人
「レジャーとしてのゴルフを楽しむ」をモットーとするゴルフ情報メディアCaddyの編集部のキャディ子です
編集部スタッフの大半が初心者ですが、“ゴルフを楽しむプロ集団”として、自ら学び体験しながらコンテンツをつくっています。